親知らずが虫歯かも?放置するリスクと治療の必要性
監修:歯科医師 金丸智士
虫歯や歯茎の腫れ、痛みなどのトラブルは不快なだけでなく日常生活にも深刻な支障をきたすことがあります。
そのまま放置していると、口腔内だけではなく全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。今回は、その中でも特に親知らずの虫歯のリスク、なぜ早急な治療が必要なのかについてお話ししてきます。

親知らずの虫歯は大きなトラブルの原因になる可能性があります。
【目次】
1.親知らずとは
2.親知らずが虫歯になりやすい理由
3.歯茎が腫れて痛い「智歯周囲炎」
4.その他
4-1.親知らずの生え方によるトラブル
4-2.歯性感染症
5.親知らずの痛みに抜歯以外の選択肢はある?
6.親知らずが気になったらかなまる歯科クリニックへ
親知らずとは
親知らずは正式名称は「第三大臼歯」または「智歯」と言い、お口の中の最も奥に生えてくる歯です。
生え方は人それぞれで、真っ直ぐ綺麗に生えることもあれば、斜めに生えたり完全に埋まったまま生えてこなかったりする「埋伏歯」となることもあります。生える本数や時期にも個人差があり、一般的には10代後半から20代前半にかけて上下左右それぞれに1本ずつ、合計で1〜4本生えてきます。親知らず自体が存在しないこともあるので、生えてこなくても不安に思う必要はありません。
もし、ご自身のお口の中に親知らずがあるかどうかが気になる場合は、歯科医院でレントゲン撮影をしてみましょう。
親知らずが虫歯になりやすい理由
親知らずはその特殊な位置と生え方のせいで、様々なトラブルを引き起こすことがあります。特に注意が必要なのは、親知らずが虫歯になりやすいうえ、その周囲にも悪影響を与えることが多い点です。
例えば親知らずが斜めに生えてしまうと、隣の歯に重なってしまって歯磨きがしにくくなり汚れが溜まりやすくなります。その結果、親知らずが虫歯になりさらに隣接する歯も虫歯になってしまうことが少なくはありません。
その上、親知らずは自分の目で確認することが難しく症状が出るまで虫歯に気がつかないことが良くあります。虫歯は症状が出た時には治療が必要な段階まで進行してしまっています。親知らずだけでなく、その周りの歯を守るためにも定期的に歯科検診を受けて問題を早期発見することがとても大切です。
歯茎が腫れて痛い「智歯周囲炎」
歯の痛みと聞くと、多くの方が虫歯を連想されると思いますが、親知らずに関しては必ずしもそうとは限りません。
親知らずは、基本的に磨きにくい位置にあるため汚れが溜まりやすく、細菌が繁殖しやすい状況になりやすいです。細菌が親知らずの周囲で繁殖すると、親知らず周辺の組織に感染し、腫れや痛み、膿が出るなどの症状を引き起こします。これを「智歯周囲炎」といいます。症状がひどくなると
- 顎の骨や筋肉内にも膿が溜まり大きく腫れたり、激しく痛んだりする
- 喉が痛む
- 口を開閉しづらくなる
といった大きなトラブルを引き起こす恐れがあるため、なるべく早く対処する必要があります。
その他
親知らずの生え方によるトラブル
- 上の親知らずが生えていて、噛み合う下の歯がないことで歯茎を傷つけてしまう
- 親知らずが外側に向かって生えているせいで、口を閉じる際に頬を噛んでしまう
- これらは、当たっている部分を削ったり親知らずを抜いたりしないと改善されないことが多いです。
歯性感染症
虫歯や歯周病などが原因で細菌の感染が周囲の組織にまで広がり、様々な疾患を引き起こすことがあります。
顎骨骨膜炎
顎の骨を覆う骨膜に感染が広がった状態です。顔全体の腫れや脈拍のようにズキズキする痛みが特徴です。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)
皮膚や皮下組織にまで感染が広がった状態です。口内の腫れやむくみを引き起こし、激しい痛みや口の開閉困難、高熱や全身の倦怠感を伴うことがあります。頸部が膨張して呼吸困難を引き起こす可能性もあります。
これらの歯性感染症の治療には、炎症を抑えるために抗生物質が用いられることになります。的確な処置を行って痛みを迅速に解消するためにも、上記のような症状が気になったらすぐに歯科医院へご相談ください。
親知らずの痛みに抜歯以外の選択肢はある?
トラブルの原因になりやすいため抜歯になることが多い親知らずですが、全ての親知らずを抜歯しないといけないわけではありません。
お口の中の状態によって抜歯の必要性は変わります。例えば
- 親知らず部分も上下でしっかり噛み合っていて、歯としての役割を果たしている
- 親知らずの隣の歯がない、または失う確率が高いときに、ブリッジなどの支えとして活用できる
など、親知らずがあることによってメリットになる場合には抜歯せず残すこともあります。
また、抜歯を望まれない方もいらっしゃるでしょう。そういった方には、現在のお口の中の状態や親知らずを残すリスクをしっかりご説明させていただいた上で一緒に治療方法を検討していくことになります。
親知らずが気になったらかなまる歯科クリニックへ
親知らずは虫歯や歯周病というトラブルを引き起こしやすく、他の歯と比べると深刻な疾患につながる可能性も高いと言えます。
そのため、痛みや違和感を感じることがあれば早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
特に、これからお仕事が忙しくなる予定のある方、重要な試験を控えている方、妊娠や出産を予定している方は、早めに対処しておいた方が良いでしょう。想定外のトラブルに悩まされることなく、大切な時期を迎えることができます。
もし、親知らずに痛みや不安がある場合は、一度かなまる歯科クリニックにご相談ください。