ガミースマイルでお悩みの方へ。原因と改善方法を詳しく解説
監修:歯科医師 金丸智士
笑った時に歯茎が出て目立ってしまうことにお悩みではありませんか?それは、もしかすると「ガミースマイル」かもしれません。「ガミースマイル」が原因で見た目を気にしてしまい、、笑顔に自信をもてないと感じてしまう方もいらっしゃいます。この状態は、骨格の構造や歯の位置、筋肉の動きなど、さまざまな要因によって引き起こされます。この記事では、ガミースマイルの原因と改善方法について詳しく解説します。
【目次】
1.「ガミースマイル」ってどんな状態?
2.ガミースマイルの主な原因
2-1歯の位置や形状
2-2上顎の大きさやかみ合わせ
2-3口周りの筋肉
2-4遺伝
2-5ガミースマイルは女性に多いって本当?
3.ガミースマイルの治療法
3-1骨格が原因の場合
3-2口周りの筋肉が原因の場合
4.ガミースマイルは放置してもいいの?
5.ガミースマイルのお悩み!お気軽にご相談ください
「ガミースマイル」ってどんな状態?
笑った時に歯茎が見えることが気になったことはありませんか?通常でも、笑うと上唇が持ち上がり、少し歯茎が見えますが、中でも歯茎が過度に露出する状態を「ガミースマイル」と呼びます。一般的に、上顎の歯茎が3mm以上見えるとガミースマイルとされています。この状態をコンプレックスに感じてしまい、口元を手で隠してしまう方もいらっしゃいます。
「ガミースマイル」は特に、アジア人の骨格で多く見られ、欧米人の骨格では少ない傾向にあります。 ガミースマイル自体は病気ではありませんが、見た目に影響することがあります。
ガミースマイルの主な原因
ガミースマイルは、様々なことが関係して引き起こされます。主に骨格の構造、歯の長さ、歯茎の厚み、筋肉の動きなどが要因として考えられます。ガミースマイルを改善するためには、人によって異なるこれらの要因を、歯科医師が正しく診断し治療を行うことが重要になります。以下に、4つの主な要因について具体的にご説明します。
歯の位置や形状
歯の長さが短い、あるいは歯の位置が低いと、歯茎の占める割合が大きくなるため、歯茎が目立ちやすくなります。また、上の前歯が内側に傾斜して下の前歯に覆い被さっているような状態でも、歯茎が露出しやすくなります。
上顎の大きさやかみ合わせ
上顎が過度に発達し通常より大きい場合、それに比例して歯茎の面積も大きくなることで、歯茎が露出しやすくなることがあります。また、上顎の歯が前方に突出している(出っ歯)など不正咬合が見られる場合、歯が前に出ていることで唇が持ち上がりやすくなり、笑ったときに歯茎が露出し目立つことがあります。
口周りの筋肉
口の周りには多くの筋肉があります。その1つに鼻の両脇に位置する「上唇挙筋」と呼ばれる筋肉があります。この筋肉が特に発達していると、笑ったときなどに上唇が通常よりも高く持ち上がりやすく、結果として歯茎が露出し目立つことがあります。このことに関しては、遺伝の可能性が高いと考えられています。
遺伝
ガミースマイルは、遺伝が関係していることもあります。これは、ご両親の骨格や歯の形態、口周りの筋肉の状態などがお子様に遺伝することでガミースマイルになる可能性があるということです。しかし、必ずしもガミースマイルが遺伝するわけではありません。ご両親(あるいはご両親のどちらか一方)がガミースマイルである場合、お子様の口元の成長を気にかけながら観察することが大切です。
ガミースマイルは女性に多いって本当?
ガミースマイルは女性に多いとされています。実際に、発症率は男性が7%に対して女性は14%と、女性の方が高いと報告されています。この差には、男女の皮膚の特性が関係していると考えられます。男性の場合、顔の毛穴が大きく、髭が生えることもあり、皮膚が比較的厚く硬い傾向にあります。これに対して、女性は口周りの皮膚が柔らかく、薄いため、笑った時に上唇がより高く持ち上がることで、ガミースマイルが目立ちやすくなると言われています。
ガミースマイルの治療法
ガミースマイルの治療方法は、原因によって異なります。原因をしっかり特定した上で治療を行うことが重要になります。
骨格が原因の場合
骨格が原因であるガミースマイルは、矯正治療により改善することが可能です。治療では、歯茎に小さなチタン製のアンカースクリュー(矯正用インプラント)を埋め込み、これを歯を動かす固定源として利用し前歯の位置を1〜3mm移動させることで、ガミースマイルを効率的に改善します。また、ガミースマイルが重度の場合には、顎の骨を削る手術も必要になることがあります。このような手術は全身麻酔の下で行われ、入院が必要となる場合があります。どの治療方法が必要になるか、お口の状態をしっかり診てもらった上で診断してもらい、歯科医師と相談の上で治療方法を選択しましょう。
口周りの筋肉が原因の場合
・ボトックス注射
上唇挙筋の発達が原因となっている場合に有効です。上唇挙筋にボトックス(ボツリヌス)注射を行い、筋肉の動きを抑制する方法です。これにより、口元から見える歯茎の露出を減らすことができ、笑った時に歯茎が目立ちにくくなります。
この治療の効果は一時的で、約6ヶ月ごとに繰り返し施術が必要になります。比較的手軽に行える処置ではありますが、いくつかの注意事項があります。特に女性の場合、妊娠中や授乳期間中は治療を避ける必要があります。
・上唇粘膜切除術
この治療法は、上唇と歯茎の境界近くの粘膜を唇の裏側から切除し、切除した端を引き寄せて縫合することにより歯茎の面積を小さくすることで、口元から見える歯茎の露出を抑えることができます。
手術は比較的短時間で完了しますが、外科手術が必要となります。一度の施術で効果が現れますが、術後しばらくは引っ張られるような違和感が残ることがあります。
ガミースマイルは放置してもいいの?
ガミースマイルは病気ではないものの、そのままにしておくとコンプレックスを感じやすくなったり、口内環境に影響することがあります。以下に、ガミースマイルを放置するリスクについて具体的にご説明します。
・コンプレックス
ガミースマイルは病気ではないため、見た目が気にならないのであれば治療をする必要はありません。しかし、笑う時にコンプレックスなどを感じてしまう場合、口元を隠す癖がついてしまうなど、日常生活において支障をきたすこともあります。
・虫歯や歯周病の原因
歯茎が露出しやすかったり、骨格的な問題で口が閉じにくい人(口ゴボ)は、口腔内が乾燥しやすくなることがあります。口内が乾くと、唾液の洗浄作用も弱まり、細菌の増殖が促され、口腔の衛生環境が悪化しやすくなります。これらの状況は、結果として虫歯や歯周病、口臭を引き起こす原因となることがあります。
ガミースマイルのお悩み!お気軽にご相談ください
ガミースマイルの原因はさまざまですが、病気ではないため積極的な治療を考える方は少ないかもしれません。しかし、放置することで日常的にコンプレックスを感じやすくなったり、虫歯・歯周病・口臭のリスクを高めてしまう可能性があります。笑うたびに口元を手で隠してしまい、自信を持って笑えないというお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方は、ぜひ当院へご相談ください。当院では、あなたがとびっきりの笑顔で笑うことができるように、最適な治療方法をご提案いたします。