歯周病が治らない…考えられる原因と改善へのステップ
監修:歯科医師 金丸智士

ちゃんと歯磨きしているのに歯周病が治らない、と感じている方は少なくありません。歯周病は進行すると治療が難しく、最終的には歯を失なってしまう病気です。症状がなかなか改善されない場合は、対処法の見直しが必要です。今回は、歯周病が治らない原因と改善する方法についてお伝えします。
【目次】
1.歯周病が治らないのはなぜ?
1-1 1.セルフケアが不十分
1-2 2. 治療の遅れ
1-3 3.歯周病が進行している
1-4 4.歯周病を悪化させる生活習慣を続けている
1-5 5.適切な診断と治療ができていない
1-6 6.咬合(噛み合わせ)に問題がある
1-7 7.意識の問題
1-8 8.年齢的な問題
2.歯周病の改善に向けてすべきこと
2-1 1.専門的な治療を受ける
2-2 2.定期検診を怠らない
2-3 3.セルフケアを徹底する
2-4 4.生活習慣の改善
2-5 5. 最新の治療法を取り入れる
3.歯周病が治らない時の歯科医院選びのポイント
4.当院の歯周病治療
5.健康な歯茎を取り戻すために
歯周病が治らないのはなぜ?
歯周病が改善しない主な原因として、以下のものが挙げられます。
1.セルフケアが不十分
歯周病が治らない理由のひとつに、「セルフケアの不十分さ」があります。歯ブラシだけでは届かない部分にプラークが残り、細菌が繁殖して歯茎に炎症を起こし、それが歯周病へと進行するのです。
デンタルフロスや歯間ブラシを用いたケアが重要で、歯ブラシと併用することで歯間や歯周ポケットに溜まったプラークを効果的に除去できます。
また、強すぎるブラッシングは歯肉を傷つける原因となるため、注意が必要です。
2. 治療の遅れ
歯周病が治らない理由として、「治療の遅れ」が挙げられます。初期段階の歯茎の腫れや出血を放置すると、炎症は深刻化して病状が進行します。
また、症状が一時的に改善して「治った」と思い込み、治療を中断してしまい、自覚症状がないまま歯周病が進行してしまうケースもあります。自己判断で治療を中断せずに、歯科医院で定期的にチェックを受けることが重要です。
3.歯周病が進行している
歯周病が進行すると、顎の骨が徐々に吸収され、歯周ポケットが深くなります。ここまで進行してしまうとご自身のケアだけでは対処が難しく、専門的な治療が必要です。さらに症状が進行すると、歯が動揺するようになり、、最終的には抜歯が避けられない場合があります。
4.歯周病を悪化させる生活習慣を続けている
生活習慣が原因で歯周病が進行することがあります。不適切な食生活、不十分な口腔衛生喫煙などがリスクを増加させ、病状を悪化させるのです。
○喫煙
喫煙は、歯茎の血流を悪化させるため、歯肉の治癒力が低下します。また、タバコに含まれる有害物質が歯肉に直接影響を与え、病状の進行が早まります。
○糖尿病
基礎疾患がある、特に血糖値のコントロールが不十分な場合、全身の炎症反応が増加して歯周病が悪化しやすくなります。糖尿病などの病状が歯周病のリスクを高めるため、持病がある方は口腔衛生に注意が必要です。
○食生活
糖分や加工食品の多い食事は、口内の環境を酸性に傾け、プラークの形成を促進します。これにより、歯周病の原因となる細菌が増加し、結果として歯周病のリスクが高まります。バランスの取れた食事を心がけ、糖分を控えることは、歯周病予防のためにも非常に重要です。
5.適切な診断と治療ができていない
歯周病が治らない大きな理由として、適切な診断と治療が行われていないことが挙げられます。特に、定期検診を受けていない場合、歯石除去などの適切な治療が行われず、歯周病の症状が進行してしまうことがあります。
また、重度の歯周病の場合、通常の清掃や治療だけでは不十分で、外科的治療やレーザー治療など専門的な処置が必要なこともあります。これらの治療法は進行した状態を改善するのに効果的ですが、症状に合った治療を行わなければ悪化や再発は防げません。そのため、専門的な診断が不可欠であり、患者さんご自身もご自分の口内状態を理解する必要があります。
6.咬合(噛み合わせ)に問題がある
噛み合わせの問題は、歯周病に影響を及ぼす可能性があります。
噛み合わせが不適切な場合、歯に均等な力がかからず、特定の歯に過剰な力が集中することがあります。不均衡な力は、歯やその周囲の歯周組織に負担をかけ、炎症や歯周病の症状を悪化させる原因になります。
また、歯周組織に持続的な過剰な圧力がかかると、歯肉の後退や歯槽骨の損傷が加速し、結果として歯周病の進行につながります。
噛み合わせの問題を解決することは、歯周病の治療と管理においても重要です。状況に応じて矯正治療や歯の調整をした方がいい場合もあります。
7.意識の問題
治療への意識や不安が歯周病の治療に影響を与えることがあります。治療への意欲が低いと、定期的な検診や日常の口腔ケア、食生活の改善がされず、その結果、症状が悪化してしまうのです。
また、治療の痛みや費用に対する不安が、患者さんが治療を避ける理由になっていることもとても多いです。治療の重要性や効果、治療時の痛みの管理、費用についてなど、不安に感じることは事前に確認するようにしましょう。
8.年齢的な問題
加齢に伴い、免疫力や細胞再生力が低下すると、炎症が治りにくくなり歯茎の退縮が進みます。これによって歯周ポケットが深くなり、細菌が繁殖しやすい環境が形成され、症状が悪化しやすくなります。
また、歯槽骨の減少により歯がぐらつき、治療が困難になることもあります。
さらに、糖尿病や心血管疾患などの慢性疾患も歯周病の進行を促すことがあるため注意が必要です。
歯周病の改善に向けてすべきこと
歯周病を改善するためには、定期的な歯科検診と日々の徹底した口腔ケアが不可欠です。
定期的に歯科医院でのチェックを受けることにより、歯周病の進行状況を正確に把握し、それに応じた適切な治療を行うことが可能です。
1.専門的な治療を受ける
歯科医院で行われる歯周病治療をご紹介します。
○歯周ポケットの測定
現状の進行度を正確に診断し、適切な治療計画を立てます。
○歯石除去(スケーリング)
専門の器具を用いて歯石やプラークを除去し、炎症の原因となる細菌を取り除きます。これにより、歯肉の健康が改善されます。
○ルートプレーニング
歯根の表面に付着した歯石を除去します。表面を滑らかにすることで汚れの再付着を防ぎ、歯周病の再発リスクを軽減します。
○外科治療
重度のケースでは、歯周外科手術や再生療法を行ない、失われた歯周組織の再生や機能回復を目指します。
これらの治療は歯科医師によって慎重に行われ、患者さんの口腔状態や病状の進行度に応じて最適な方法が選択されます。
2.定期検診を怠らない
定期検診は、歯周病の治療効果を維持し、再発を防ぐためには欠かせません。お口の中の状態によっても変わりますが、3~6ヶ月程度の間隔で行うことが一般的です。
定期的に口腔内の状態を詳しくチェックすることで、異常の早期発見、早期治療が可能になります。口内環境を健全に保ち、長期的に歯の健康維持をするためには定期検診が欠かせません。
3. セルフケアを徹底する
歯周病の予防と進行防止のためにはセルフケアが非常に重要です。
毎食後に正しいブラッシングを行い、特に歯茎の境目を優しく磨くことで、プラークの蓄積を防ぎます。歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間の汚れもしっかり取り除きましょう。
また、効率的に汚れを除去するためには、電動歯ブラシの使用も効果的です。
さらに、抗菌作用のある洗口液を使用することで、口内の細菌の繁殖を抑え、歯周病のリスクを軽減できます。
健康な口内環境を維持し、歯周病の進行を防ぐためには、セルフケアの習慣化が大切です。
4. 生活習慣の改善
生活習慣の見直しは、歯周病の予防と治療において非常に重要な役割を果たします。栄養バランスの取れた食事を心がけ、特に野菜やビタミンCを豊富に含む食品を摂取することで、歯茎の健康をサポートし、炎症を抑える効果が期待できます。
また、砂糖の摂取を控えることで、歯周病菌の増殖を抑え、リスクを軽減できます。さらに、喫煙は歯茎の血流を悪化させ、歯周病を進行に繋がるため、禁煙を検討することが重要です。
ストレス管理も歯周病予防においては重要で、過度なストレスは免疫機能を低下させます。リラクゼーションの技法を取り入れることが効果的です。
そして、十分な睡眠と適度な運動は、免疫力を高め、体の自然治癒力を向上させます。
これらの習慣を実践することで、歯周病のリスクを抑え、健康な口内環境を維持することが可能です。
5. 最新の治療法を取り入れる
例えば、レーザー治療は痛みが少なく、回復が早いため、患者様の負担を軽減することができます。この治療法は、歯周ポケット内の細菌を効果的に除去し、組織の再生を促進することで、歯周病の進行を抑え、損傷した歯肉の回復を助けます。
重度の歯周病の場合には、抗菌薬を併用することもあります。抗菌薬を使用することで口内の細菌を減少させ、炎症を抑え、症状の改善に役立ちます。ただし、抗菌薬の使用には専門医の指導が必要です。
このように、最新の治療法を取り入れることで、従来の方法では対応が難しかったケースにも効果的に対処でき、治療の成功率を高めることが期待されます。
歯周病が治らない時の歯科医院選びのポイント
適切な歯科医院を選ぶことは、歯周病治療を行う上で重要なポイントです。
1、歯周病の専門医の存在
歯周病の治療は一般的な歯科医院でも可能ですが、症状が重い場合や複雑なケースでは専門医のいる医院を選択した方がいいです。ご自身の歯をこれ以上失わないためには、最適な治療法を見極めてもらうことが重要です。抜歯が必ずしも最良の選択肢ではありませんが、症状を放置すれば他の歯に悪影響を及ぼしかねません。長期的な視点で治療計画を立て、適切な提案をしてくれる歯科医院を選ぶことが大切です。
2、治療の説明が丁寧
治療を受ける上で、その必要性を理解しなければ通院を続けることが難しくなります。そのため、しっかりとした説明があり、ご自身が治療方針に納得できる歯科医院を選ぶことが重要です。また、治療後のフォローや定期的なメインテナンスを重視している歯科医院がお勧めです。
当院の歯周病治療
当院では、歯周病治療に特化し、患者様一人ひとりに合った個別の治療計画を提供しています。最新の診断機器を用いて正確な診断を行い、患者様の症状に基づいた最適な治療計画を立案します。
治療後は、定期的なフォローを行い、再発防止と口内健康の維持をサポートします。
<治療の流れ>
・初診時の検査、診断
・治療計画の説明
・実施
・再評価・メンテナンス
の順に進めていきます。患者様に最良の治療とサポートを提供しています。
健康な歯茎を取り戻すために
歯周病は進行すると治療が難しくなるため、当院では最先端の技術と個別の治療計画で健康な歯茎を取り戻すお手伝いをしています。詳細な検査を行った後、クリーニングや定期的なフォローアップを通じて再発防止と口内健康の維持をサポートします。歯周病の症状でお悩みの方は、ぜひ当院へご相談ください。